学会誌

日本ウマ科学会雑誌の新たな発展をめざして


 

-JJESからJESへの飛躍-

 

 

 1990年に発足した日本ウマ科学会は,本年で5年目を迎えます。皆様の積極的な御参加により学術集会は年を重ねるごとに盛況さを増しております。会員数も1994年1月現在で829名を数え,4月にはさらに24名の新入会員を迎える予定です。

 本学会の機関誌であるJapanese Joumal of Equine Science JJES)も,すでに4巻を数えました。一年の発刊数は,1990,91年の両年は年1回でしたが,92,93年は年2回の発刊となり,着実に発展して参りました。このような実績が評価され,JJESは,1993年ll月に,日本学術会議の認定雑誌に指定され,名実ともに日本を代表する学術雑誌となっております。しかし新たな発展を目指そうとする時,克服しなければならない課題が二つあります。その一つは,発刊回数が年2回では,情報の即時性が低く,国際的な評価が高まらないということです。ウマの科学に関するもう一つの学術雑誌であるJRA競走馬総合研究所のBulletin of Equine Research Instituteも同じ問題を抱えておりました。

 そこで両者は1993年4月より協議をおこない,これらの2誌を発展的に統合し内容をより充実させることで合意いたしました。

 合意内容は以下の通りです。

(1)JJESをJES(Joumal of Equine Science)と改称し国際的学術雑誌の立場をより明確に
 する。

(2)この改称に伴い,原著論文など雑誌の主体をなす論文は英文とする。

(3)年2回の発刊を年4回の発刊にし,即時性を増す。

(4)雑誌のサイズは従来のB5版をA4版(国際版)にし,写真図版をみやすくする。

 学会の機関誌をより一層発展させるために克服しなければならない課題がもう一つあります。それは,学会の機関誌である以上,避けられない宿命ですが,学術的に高いものであるほど一般に読みにくいものになるということです。国内外の学術誌のほとんどは,一部の記事がそれを専門とする読者に読まれるだけで他の記事はざっと目を通すだけかまたは全く読まれないというのが実態です。

 しかし日本ウマ科学会は,高い学術性を目指すと同時に,ウマの科学を普及するという目的をもっています。この2つの目的を同時に進めることの困難さが,機関誌の性格を決める上でもっとも顕著な形で表れたといえましょう。すなわち,高い学術性を目指そうとすれば,内容は難解なものになります。しかも国際的に多くの研究者に読んでもらうためには英文でなければなりません。

 一方,「ウマの科学」の普及ということを主眼に置くと,その記事は,原著論文よりも,総説や解説の方が優れています。また会員のほとんどが日本人であることを考えると,日本語の方が優れています。

こうした矛盾を解決するために日本ウマ科学会は,JRAの御厚意により競走馬総合研究所発刊の「馬の科学」を学会の事業の一環として会員に配布することにいたしました。馬の科学は1994年から年6回発刊される予定です。

 以上のことがらは,1993年ll月に開催された理事会および総会において承認され,1994年から実施されることになりました。どうか今後とも新しく発展する機関誌「JES」を御愛読下さいますようお願い申し上げます。また「馬の科学」も伴せて御愛読下さい。

 「JES」に御投稿下さいます場合は,改定された投稿規定に従って下さい。また投稿規定にしばられない形で自由に日本語の「意見」「解説」などをお送り下さいますようお願い申し上げます。年4回の発刊の際に,会員のための「告知板」「情報欄」と一緒に掲載させていただきます。

セル・フランセ

※このページで使用している写真は、(株)講談社発行の「世界家畜図鑑」から引用しています。