馬科学情報

コラム

デング熱ウイルス感染症

Q:ウマのデング熱ウイルス感染について

 

2014年8月に70年振りとなる国内でのデング熱ウイルス感染者が確認され、その後代々木公園を中心として一時的に感染が拡大しました。これらはヒトでの報告でしたが、ウマや他の動物もこのウイルスに感染するのでしょうか。

 

A:お答え(受稿日:2016.6.15

 

この流行時の2014年9月に東京都獣医師会は「デング熱のペット動物への感染について」というお知らせの中で、本病がイヌやネコに感染して発病することはないと思われると見解を述べております。また、日本獣医学会公衆衛生分科会では12月1日に日本獣医生命科学大学で市民公開講座「デング熱、これからどうなる?」を開催し、イヌ、ネコ、ネズミ等の動物と蚊との関係についての正確な情報を一般市民に提供しております。一方、ウマがデング熱ウイルスに感染するのかどうかについては、明確な情報はありません。デング熱ウイルスと同属の日本脳炎ウイルスは、ウマに感染し、重篤化すると脳炎症状を起こすことが知られていますが、熱帯を中心としたデング熱ウイルス常在地においても、ウマが感染し発症したという報告はないことから、ウマがデング熱ウイルスに感染し発症する可能性は低いと考えられます。

松村富夫(元JSES副会長、JRA参与)