馬科学情報

コラム

エボラウイルス感染症

Q:ウマのエボラウイルス感染について

 

2014年~2015年にかけて西アフリカ諸国でエボラウイルス病(EVD)が大流行しましたが、ウマはこのウイルスに感染し、発症することはあるのでしょうか。

 

A:お答え(受稿日:2016.6.15

 

米国ケンタッキー大学のRoberta Dwyer博士は2014年10月発行のEquine Disease Quarterly 23巻4号の時事解説の中で、「ウマはエボラウイルスに感染しない」と述べています。一方、2014年10月15日付のThe New York Timesでは、Donald G. McNeil Jr.が「ペットはエボラウイルス病に罹るか」というテーマの中で、ウマ、ブタ、モルモット、ヤギは実験的に感染するが無症状またはマイルドな症状を示すと述べています。しかし、いずれも科学的根拠が示されていないので、その真偽については定かではありません。少なくともこれまでにEVD発生地においてウマがエボラウイルスに感染し発症したという報告はないことから、ウマが感染し発症する可能性は低いと考えられますが、ウマでの感染実験成績の報告がないため、ウマがエボラウイルスに感染するのかどうかは不明としかお答えできません。なお、EVD発生地からのウマの輸入実態はありません。  

             

松村富夫(元JSES副会長、JRA参与)