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Q&A

日競研報との統合経緯

 

QJJESと日競走研報の統合経緯について

 

 日本ウマ科学会誌(JJES)は1990年に発刊されましたが、1994年に日本中央競馬会競走馬総合研究所報告(日競研報:Bulletin of Equine Research Institute)と統合され、雑誌名もJESと改称されております。どのような経緯で統合され、JESと改称されたのでしょうか。また、主要学術雑誌の最新の目次情報紙であったCurrent Contentsに掲載されていた日競研報と統合されたJESが同誌に掲載されなくなった理由についても教えてください。

 

A:お答え(受稿日:2016.1.20)  (鎌田正信 JSES常任理事)

 

 JJESは1990年に年間4回の発行を目標に掲げて発刊されましたが、当初から投稿論文数は目標の半分程度しか集まらず、年間2回発行するのが精一杯な状態が続きました。その最大の要因は、わが国で最も多くのウマ科学研究者を擁していたJRA総研が発行する日競研報との競合によるものであり、JRA総研が所属研究者に対して同年報への論文投稿を半ば義務化し優先させていたため、JJESへの投稿論文数は期待していたほど集まりませんでした。

 そこで、1993年当時編集委員長であった林良博先生を中心に、年間4回の発行に必要な投稿論文をどのようにして確保するかという施策について、編集委員会で真剣に検討されました。その結果、毎年10編程度の論文を掲載している日競研報と統合・一本化して投稿論文数の底上げを図るとともに、馬の科学等に掲載されていたJRA競走馬診療所所員の和文論文の一部をJJESへの投稿論文として取り込むための支援策も必要であるとの結論が得られました。また、統合後の雑誌名はJESと改称し、日本を代表する世界的なウマ科学専門雑誌として発展させていくべきであろうとの提案もなされました。これらの提案内容については、林先生がJSES常任理事会で説明し、同常任理事会の承認を得てJRA総研と協議が行なわれることになったと記憶しております。

 JRA総研では、JSES副会長であった上田八尋所長が会議を招集し、企画調整室長並びに各研究室長との間でJJESと日競研報との統合について協議が行われました。会議では、1)JJESと日競研報を統合してJESと改称することにより、一時的にCurrent Contentsに掲載されなくなる恐れがあること、2)日競研報はJRA総研の部内雑誌に過ぎず、わが国の多くの大学や研究機関では学位論文の審査対象にされてないが、JESは今後の実績により学位審査対象論文として発展させることができることなどが議論されました。その結果、1)雑誌名をJJESからJESにすること、2)JESには日競研報と統合した事実を記載すること、3)Current Contentsに登録されるよう手続きすること、4)国内外の日競研報の寄贈先にJESも配付することなどを条件に、両雑誌の統合に合意することになりました。

 JJESからJESへ改称された理由は、世界的なウマ科学専門雑誌の一つとして発展させるためには、Japaneseを削除してJournal of Equine Scienceの方が広く受け入れられやすいとの判断であったと思います。

 また、JESがCurrent Contentsに登録されなかった理由は、JJESとの統合により既存登録雑誌である日競研報がJESと改称されたため、手続き上は新刊雑誌と同じ扱いになると判断されたことによるものです。Current Contentsの登録には、JESと改称されてから数年間の実績(投稿論文数等)を踏まえて申請し、基準となる条件をクリアする必要があるという説明を林先生から受けたように記憶しております。