お知らせ

年次大会: 第19回学術集会シンポジウム

開催日時:平成18年11月27日(月)13:00~16:30

 「ウマの躾を考える」

       
■キーノート「動物としての価値と躾」 
                       楠瀬 良(JRA競走馬総合研究所)
 人とともに生きる動物には、さまざまな形で躾がおこなわれる。躾はそうした動物たちを幸せにし、価値を高める。競走馬でも、躾はそのパフォーマンスにまで影響を与える。

 

■基調講演:「犬の躾 人と犬の暮らしのために」
                       井本史夫(神奈川県開業獣医師)
人と犬は一緒に暮らす仲。共に暮らす限りは楽しく暮らしたい。家庭だけでなく、地域も楽しくなる犬に育てよう。

 

■講演「乗用馬のケース」

 ★パート1:国産乗用種の育成期における躾                 
                       千葉祥一(遠野市畜産振興公社)
 乗馬の専用種として生産されたウマたちが、競技用馬として育成されるとき、ウマの心と躾をどのように考え、どのように馴致を進めていくのか。まだ始まったばかりの日本の乗用種生産に携わる専門家が、経験談から紬だされたノウハウを紹介する。

 ★パート2:競走転用馬の躾                 
                       梅木康裕(夢☆大地グリーンバレー)
 誰もが安心して触れ合うことのできるウマづくりが求められている。セラピーホース、ファミリーホースなどの視点からウマの社会参加をめざして、ウマの心を理解し、人との共生を創造するための実践活動を紹介する。

 

■講演「競走馬のケース」

 ★パート1:幼駒期の躾                  
                       根本明彦(ハッピーネモファーム)
 三つ子の魂、百まで。それはきっとウマにも当てはまる。サラブレッドたちは、今、体力面の育成だけでなく、セリに向けての馴致の成否が大いに注目されている。そんな躾を専門とするコンサイナーが、幼駒の心と躾のキーポイントを紹介する。

 ★パート2:育成期の躾                   
                       山野辺啓(JRA日高育成牧場)
 初出走を目指して調教が進み、骨格も太く、筋力も養われて、体躯に力がみなぎりはじめる育成期。そこで求められるのは、体力の増進と共に、競走馬として の不屈の心と、騎手との協調性であろう。そんな競走馬としての資質を高めるための秘訣はどこにあるのか、紹介する。  

 ★パート3:競走期の躾                 
                       勢司和浩(JRA美浦トレセン調教師)
 育成期から続く調教にさらに磨きがかかり、最高のコンディションでの出走に向けて最終調整が進められる臨戦態勢の競走馬たち。彼らの平常心と闘争心の比 重はレース結果を大きく左右するという。そんな競走馬たちのメンタルケアに細心の注意を払う調教師の生の声を聞いてみよう。

 

■総合討論: 座長:楠瀬良(JRA競走馬総合研究所)

 

 

(参考)

シンポジウム開催のねらい

 日本では近年、ウマの用途から荷役が消え、ウマは、競馬、ブリティッシュスタイルやウェスタ ンスタイルなどの乗馬、そしてヒトのコンパニオンアニマルとしても注目されるようになってきている。なかでも、エンデュランスやトレック、あるいはホース セラピーなど、新たなウマの活用も目立ち始め、ウマのもつ魅力が多方面で利用されている。こうした中、競走馬の調教スタイルも時代の流れと共に様変わりし つつある。隊列を組んでの角馬場運動、多頭数での追い切り調教、競馬場での二歳馬のスクーリングなど。これらは、ウマとヒトとの信頼関係の構築をベース に、ウマに忍耐を教え込むと同時に、忌むべき悪癖の獲得を防止して、競馬や乗馬の大会で個々のウマの持っている資質を最大限に発揮させるということを最終 の目的としていると言えよう。
 さて、本年のシンポジウムでは、コンパニオンアニマルの代表であるイヌの心と躾を基調講演に置き、それを参考としつつ、乗馬の世界と競走馬の各ステージ で活躍する専門家の方々を講師に、日常のウマとの関りを通じて、ウマの心を読み解き、その躾のポイントについてお話いただくこととした。そして、これらの 講演と総合討論を通じて、ウマの心と躾を考えてみよう。それはきっと、ウマへの理解を深め、ヒトとウマとの新たな関り方を暗示するとともに、ウマの持つさ らなる魅力と可能性を浮き彫りにしてくれるかもしれない。